賢島モアレキャンパス / Kashikojima MOIRE Campus
所在地 | 三重県伊勢市阿児町鵜方 |
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期 間 | 2015年度 |
面 積 | 0.35ha |
発注者 | 株式会社モアレリゾート |
業務領域 | 基本設計、実施設計、現場監理 |
協 働 | 石井建築事務所 |
波紋のように人々が集い繋がる場
合言葉は「未だ見ぬ和のリゾート」
穏やかなリアス式海岸で有名な英虞湾とその海を育む豊かな森を持つ三重県志摩、賢島。
この恵まれた自然環境を活かし、体験、感動、寛ぎの場をお客様に提供しているモアレリゾート。モアレ(MOIRE)とは、水面に美しく広がりゆく波紋を意味するフランス語で、そのモアレを会社の象徴とし、未だ見ぬ和のリゾートの創出をめざしている。
モアレキャンパスは、このモアレリゾートの社屋であり、接客の場である。
自然風の剪定・資源再生活用
敷地内の常緑林は枝抜き剪定し、枝振りが見えるように透かすことで深みのある樹形に整えていく。ツル伐りや枯損木処理、落ち葉かきをすることで、今まで光の届くことがなかった林床を表出させ、ゆくゆくは埋土種子の発芽による山野草が期待できるような手入れを丁寧に行った。
樹形の良いウバメガシは、車両動線上のアイストップとして美しい姿に変え、手入れで発生した間伐材は緑化駐車場の法面に立てかけ資源の再生活用をビジュアルに訴求し、やがて朽ちて昆虫類のすみかとなる自然との共生を表す環境とした。
私たちも自然の一部
モアレキャンパスの敷地内高低差は約9m。道路とほぼ同一レベルに社員のための託児所、中層に芝生による緑化駐車場、上層にオフィス棟及び休憩室棟があり、託児所と上層を結ぶ社員専用の動線には樹林の中を抜けるスギの赤身を用いた枕木階段。緑化駐車場と上層を結ぶ来訪者も利用する動線は小松石を用いた緩やかな石張階段とし、目地にスナゴケ、地覆にツワブキやヤブランなど落ち着きある和の歩経路とした。
休憩室棟下部はキャンパスの顔としてウラジロガシとソメイヨシノを主木に、起伏のある地形に合わせヤマブキやアジサイ、ツツジ類、石張内外にヤブコウジやフッキソウなど四季のうつろいを感じる和の庭とした。オフィス棟裏側の斜面を切り開いた小さな空間には社員たちが一息入れられる空間として土留めを兼ねた三段石積みの裏庭。また、芝生広場奥には自由に発想を展開できるよう、円形に堀込んだ石組みと暑熱を遮る竹と笹による瞑想の井とした。
モアレキャンパスは社員一人一人がゆったりとした自然の流れに寄り添いながら、構想をあたためる場所。自然を愛し、自然に学び、人々が集い繋がる場所。「私たちも自然の一部」として生きることを誇りに思って仕事をしたいという思いを大切にした空間である。